日本福祉大学健康社会研究センター主催 国際ワークショップin NAGOYA 「社会疫学と老年学における国際共同研究の可能性 "Potentials of international collaborative research in social epidemiology and gerontology"」を開催

日本福祉大学健康社会研究センター(Center for Well-being and Society,CWS)は,2012年1月8日(日)に、国際ワークショップ「社会疫学と老年学における国際共同研究の可能性」を開催しました.
CWSは,介護予防のポピュレーション戦略の開発に向けて,ソーシャル・キャピタルなど「健康の社会的決定要因」に着目したJ-AGES(JApan Gerontological Evaluation Study, 日本老年学的評価研究)プロジェクトに取り組んでいます.2010〜2011年度調査では,全国の27自治体に暮らす約8万人の高齢者にご協力いただきました.
一方,スウェーデンでも,SNAC(The Swedish National Study on Ageing and Care,加齢と高齢者ケアに関する全国調査)がストックホルム老年学研究センター(Stockholm Gerontology Research Center)によって取り組まれています.
海外から見ると「日本はソーシャル・キャピタルが豊かな社会」と言われていますが,日本社会に暮らす我々には,まるで空気のようで,その存在は感じられません.国内での比較だけでは,全体的に豊かであるために差が小さく,検出力が不十分である可能性があります.そこで共通項目を多く持つJ-AGESとSNACの国際共同研究を構想したところ,長寿科学総合研究推進事業(国際共同研究事業)に採択され,共同研究プロジェクトが立ち上がりました.地域・社会環境の大きく異なる2ヵ国の地域間比較をすることで,国内での比較研究だけでは得がたい知見が期待されます.
本国際ワークショップでは,CWSが研究協定を結んでいるハーバード大学公衆衛生大学院からSubramanian教授,SNACの主任研究者であるDr.Marten Lagergrenをお招きし,日本から訓覇法子(日本福祉大学)、羽田明(千葉大学大学院)の報告も交え,社会疫学と老年学における国際共同研究の可能性について論議しました.

(10:30〜11:50))
テーマ「比較疫学研究:その概観」“Comparative Epidemiologic Research: An Overview”photo
S V Subramanian (ハーバード大学公衆衛生大学院教授)
比較疫学について
・Framingham studyとSeven countries studyについて
・比較研究の4つのモデルについて
・比較研究を実施する前提と限界について
・生態学的研究の限界とmultilevel分析の必要性について
・生態学的研究の積み重ねによる真実の追求について
・健康行動に対する国民性の違いについて

(13:00〜14:40)
「SNACの概要と日瑞比較研究の可能性」“Overview of SNAC and potentials of Japan-Sweden comparative study”photo
訓覇法子 (日本福祉大学 教授
Marten Lagergren(Stockholm Gerontology Research Center准教授)
・SNACの概要について
・SNACデータに含まれるAgingデータとCareデータについて
・日本とスウェーデンの相違点について
・日瑞比較の比較可能性(その前提と限界)について
・J-AGESとSNACの日・瑞の代表性の担保について
・スウェーデンにおける介護サービスに対する考え方について

(14:50〜15:30)
「J-AGESプロジェクトと柏市調査」photo
羽田 明 (千葉大学大学院医学研究院 教授)
・J-AGESの目標について
・J-AGESで測定しているソーシャル・キャピタル項目について
・ソーシャル・キャピタルと転倒の関係について
・ベンチマークシステムの開発とその意義について
・J-AGESにおける全国調査の意義と日瑞比較の意義について

(15:30〜16:00)
全体討論photo
・日本とスウェーデンの相違点(例として転倒経験の割合や定義)について
・J-AGESとSNACのアクセス可能なデータの相違点について
・高齢者ケアの財源について
・世帯・家族構成の違いについて

本ワークショップの開催には,公益財団法人長寿科学振興財団の長寿科学総合研究推進事業(国際共同研究事業),厚生労働科学研究費補助金(長寿科学総合研究事業)「介護保険の総合的政策評価ベンチマーク・システムムの開発」(H22-長寿-指定-008),並びに日本福祉祉大学国際学術交流(研究者短期招聘)事業の助成を受けました.

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開催概要
日時 2012年1月8日(日)10:20〜16:00
会場:日本福祉大学名古屋キャンパス7B 主催:日本福祉大学健康社会研究センター

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